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VOL.23 笠間市消防本部 の「救助工作車Ⅱ型」をセイバーズがレポート!

2023年6月

笠間市は人口約7万人、面積約240k㎡で、首都圏から約100㎞、茨城県の中央部に位置し、北西部は八溝山系が穏やかに連なる丘陵地帯で、南東部にかけておおむね平坦な台地が広がっている都市です。また、JR常磐線・水戸線の鉄道や常磐自動車道・北関東自動車道の幹線道路が走り、6つの駅と3つのインターチェンジ(スマートIC除く)を有する交通資源に恵まれたアクセスしやすい都市となっています。茨城県は方言が「だっぺ」、魅力度が「47位」、性格は「ごじゃっぺ」として多くの人に愛されていますが、栗の生産量が全国1位! 中でも笠間市は生産が盛んなまちで、毎年秋には「かさま新栗まつり」が開催され、多くの観光客で賑わっています。
また、「笠間焼」、「稲田石」、「笠間稲荷神社」なども有名です。

 

【笠間市消防本部ってどんなところ?】

笠間市消防本部は、1消防本部3消防署で構成され、職員数は133名の小規模消防本部です。平均年齢は37歳と非常に若く活気があり、互いを尊重し合い、チームワークのとれた自慢の職場です。友部消防署は、指揮広報車1台、救助工作車Ⅱ型1台、35m級先端屈折式梯子車1台、水槽付ポンプ車1台、ポンプ車1台、救急車2台の7台を運用しています。消防署脇には児童公園があり、休日になると子供たちが遊びに訪れます。消防車を羨望のまなざしで眺める姿はほほえましく、地域の安全を守るだけではなく、子供たちにとって身近な存在でありたいと考えています。今回はそんな笠間市消防本部に納車された救助工作車Ⅱ型をセイバーズがリポート!!

 

救助工作車Ⅲ型
シャーシ 日野レンジャー
全 長 8,080mm
全 幅 2,370mm
全 高 3,170mm
ホイールベース 4,000mm
最小回転半径 6.8m
車両総重量 11,605kg
乗車定員 5名
総排気量 5,123cc
駆動形式 4×4
ウインチ 大橋機産(株)製
クレーン タダノ製
照明 湘南工作所
配備年月日 令和6年3月4日
艤装メーカー 株式会社モリタ

署で力を入れている活動などはありますか?

特別救助隊は、友部消防署に拠点を置き、1隊4名編成で勤務しています。

令和6年3月に導入した新型救助工作車と、令和2年3月に導入した35m級先端屈折式梯子車を兼務運用し、管内全ての火災および救助事案に対応しています。他署との連携も図りながら、迅速かつ効果的な対応を行っています。特別救助隊の最大の特徴は、その若さです。20歳~30歳代で構成する20名のとてもフレッシュな部隊です。

 

この若さを活かすため、隊員一人一人に訓練の企画を割り当て、毎当務訓練を実施しています。知識や技術を身につけると同時に、企画力や自ら考え行動する力を養っています。また、車両や資機材が一新され、若い隊員が多いことも相まって、隊員のモチベーションは最高潮となっています。競争力も刺激され、訓練や現場毎に隊員からの活発な意見交換がなされ、日々隊の成長を感じられています。 

今後も訓練の質・量ともに全国の救助隊に負けないように、そして笠間市消防本部特別救助隊の誇りを胸に日々精進し、市民から愛される救助隊を目指していきたいと思います。

 

施設紹介

車両紹介

資機(器)材紹介

今までに、特に印象に残った救出活動などはありますか?

「令和4年8月深夜に覚地した火災救助事案です。

『火事かもしれない、要救助者はいない。』との通報内容でした。

現場に到着すると、2階ベランダに要救助者が3名(母親1、子供2)、火災性状は初期~中期、声をかけると降りられないとのことだったので2階ベランダに3連梯子をかけてかかえ救助で救出しました。救助活動自体は火災性状や普段の訓練から滞りなく救出できましたが、その後火災は進行し、屋内進入により消火を試みましたが、火点室に辿り着けず全焼火災となってしまいました。進入にあたり、火点室までの経路確認やバックアップ部隊の配置など、多くの反省がありました。

 

屋内進入活動では、間取り等の正確な情報をどれだけ持てるかによって許容できるリスクの幅が大きく左右されます。今回の火災では「進入可能なうちに」と活動を急いだあまり不十分な情報のまま事を進めたため、火点室への効率的な経路を辿ることができませんでした。また、間取りの聞き方なども「間取りはどうなっているのか?」よりも「火点室までの最短ルートはどこか?」と聞いたほうが活動に有益な情報を得られたと思っております。バックアップ部隊の配置についても、第1進入隊が活動限界を迎え退出しましたが、直ちに進入できる部隊が待機していることはなく2回目の進入準備までには時間がかかってしまいました。

 

これは火災防御の視点からも準備不足ですが、進入隊に不測の事態(救難要請等)があった場合にも同じことが言えます。

 

近年の建物火災の傾向から屋内進入活動においてのバックアップ部隊の配置について喫緊の課題として捉えていますが、現場活動人数が少ないのが小規模消防本部の課題です。その中で、初動でどれだけ消防力を優勢にできるかが勝負だと考えます。また、第2進入、第3進入と他署間での混成部隊とならざるを得ない状況が多発することも予測され、当消防本部としてのマニュアルはなく進入形態(確保ロープの取り方等)が統一されていないため混乱を招く恐れがあるのが現状で、そういった屋内進入マニュアルの作成なども早急に整備していく予定です。

 

この火災では第一通報者である若い女性の勇気ある行動により、負傷者が出なかったと思っております。通報者の方は、帰宅中に火災を発見し、インターホンで家主に火災を知らせました。その勇気ある行動がなければ、火災を初期で覚知できず、もしかしたら救出した要救助者の方は手遅れになっていたかもしれません。

火災救助は特に時間との勝負となります。我々笠間市消防本部特別救助隊も火災救助の訓練は特に力を入れて行っています。いつ、何時でもすぐに要救助者を救出できるように、これからも訓練を積み重ねていきます。」と救助隊の皆さま。

 

笠間市消防本部の皆さま、ご協力ありがとうございました。

 

 

▼【今回お話をうかがったのは。。。】

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